2008年02月06日

中国の商標問題「青森」

中国で「青森」が現地企業により商標登録出願されていた問題で青森県が異議申し立てを行っていました。

このたび、中国の商標局が異議申立を一部認める裁定を下したとのこと。報道だけでは分からない部分がありますが、とりあえずはよかったですね。関係者の努力に敬意を表します。

中国商標法第10条に公衆に知られた外国地名は商標登録できないと規定されています。この規定から中国国内で公知でない外国地名は商標登録できることになりますので、審査段階では「青森」はそのように判断されて公告され、異議申立期間中に他人から異議申立がなければ登録が認められたことになります。異議申立が一部認められたということは一部の商品は公知と認められ、一部の商品は公知と認められなかったということでしょうか。

これから中国に進出しようとするとき、中国国内で公知でない日本地名を被せた商品を輸出しようとする場合は特に、先に中国国内で商標登録の申請がされて登録されるリスクがありますので、中国での商標登録出願のウォッチングと中国国内での地名の公知の把握の両睨みで商標戦略を検討する必要があると思います。

posted by KH at 22:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 商標

2007年11月21日

商標登録とは

商標登録とは何でしょう。商標とは何でしょう。

人は、顔・姿とか、名前で区別できます。建物は、番地とかビル名で区別します。駅にも、他の駅と区別するため、駅名が、鹿児島中央駅とか名前が付いています。同じように、商品やサービスにも、他人の商品やサービスから区別するため、名前・ロゴが付いています。

商標登録は、商品・サービスに付ける名前・ロゴマークを商標として登録し、保護する制度です。

統一ブランド名であれば、社名からそのままとった「SONY」とか「Canon」、あるいはプレミアムブランドとして「LEXUS」などが商標登録の対象です。統一ブランド以外にも、個別の商品を特定するための名前、たとえば車で言えば「マークU」や「スカイライン」が商標登録の対象です。ロゴマークとしては、親猫が子猫を口にくわえたクロネコヤマトの宅急便の図形が有名ですね。

これらの名前やロゴマークは、その商品やサービスの出所を明らかにして、他人の商品やサービスと区別する機能を発揮します。このような出所表示機能を発揮する名前やロゴマークを“商標”と呼びます。

商標には、品質を保証するという機能もあります。たとえば、上に述べたブランドですと、高品質というイメージを消費者に与えますし、実際そのような努力をブランド企業側は行なっています。また、親猫が子猫を口にくわえたマークを見ると、安心・安全に荷物を運んでくれるという期待を消費者が持ちますし、実際そのような努力を企業側が行ないます。

ところが、まったく関係のない第三者が上に述べた名前やロゴを勝手に使用すると商標の持つ「出所表示機能」や「品質保証機能」が害され、消費者の期待を裏切ることになります。

このような商標の持つ機能を保護し、消費者を保護するため、商標制度があります。自分の商品やサービスに使用する名前やロゴについて、商標登録をすることは非常に大切であるといえます。国内で一年に12万件を超える商標登録出願の件数が商標の重要性を物語っています。

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2007年09月19日

大河ドラマ「篤姫」の商標登録

2008年放送予定のNHK大河ドラマ「篤姫」のタイトルがNHKの関連会社(NHKエンタープライズ)によって商標登録されたことに地元が困惑しているとのことです。

代表的な意見は、NHKは公共放送なのに本業以外でお金を取る(使用料)のはけしからん、とか、地元が一緒になって盛り上げようとしているのに勝手に商標登録して地元からも使用料を取るのはけしからんという、という意見のようです。

はたしてNHK(の関連会社)が大河ドラマのタイトルを商標登録する行為はいけないことなのでしょうか。NHKの立場に立てば、大河ドラマのイメージを損なうような使用を勝手にされては困るということでしょうし、もっと言えば大河ドラマへのただ乗りはダメということかも知れません。第三者に勝手に商標登録されて「篤姫」のロゴ使用に支障がでると困るという「管理」上の理由もあると思います。

商売に大河ドラマのイメージを利用すると考えると、利用料という観点から使用料を支払うという考えは妥当と思います。ただ、自治体による「篤姫」のPR活動に対しては無償でいいんじゃないでしょうか。明日、鹿児島市のサンロイヤルホテルで篤姫の商標セミナーがあります。主催者の一人は日本弁理士会。明日はその疑問に対する率直な解説があるかも知れません。

追記:南日本新聞news.com 2007年9月21日7時42分によると、 「2008年のNHK大河ドラマ「篤姫」のタイトルロゴ使用料について、商標権を持つNHK関連会社「NHKエンタープライズ」は20日、自治体などがポスターやのぼりに使う場合は製作費の6%、企業が販売する商品に使う場合は小売価格の3%とすることを明らかにした。」との事です。

posted by KH at 17:56| Comment(0) | TrackBack(2) | 商標

2007年09月18日

商標登録はなぜ重要か

商売をすすめる上で商標登録はとても重要です。商標登録はなぜ重要なのでしょう。 私たちは、商品に付いているマーク(例えばトヨタのマーク)やサービスに付いているマーク(例えばNTTのマーク)によって、その商品が誰によって作られたのか、そのサービスが誰によって提供されているのか、「良い商品」か「良いサービス」か、「安心できる商品」か、「安心できるサービス」か、などを判断することができます。 この商品やサービスに付けられたマークを「商標」といいます。「商標」は商品の名前であったり、ブランドネームであったり、企業マークであったりします。 もし店頭で売られている商品に付けられた「マーク」が偽物であったり、紛らわしいものであったら、どうなるでしょう。消費者はその「マーク」を信用してあるいは「マーク」に騙されて商品を購入したり、サービスを受けることになります。本来の会社ももちろん被害者ですが、一番の被害者は消費者ということになります。 「商標」は、特許庁に登録し、商標権という独占権が与えられることで、商標の機能(出所表示機能・品質保証機能といいます)が保護され、取引の安全と消費者を守ることができます。偽ブランド品や名前の紛らわしい商品を市場から排除するためには、商標権のもつ行使力が最も大きいと言えます。 1年間に商標登録の出願が12万件以上あるという事実が、商標登録の重要性を一番物語っています。 追記:MBCラジオのかごしまライフ相談所の収録で「商標登録」についてお話しました。ポッドキャスティングで放送を聞くことができますが、マイクを前にして気持ちに余裕がないせいか、すっかり棒読みになってしまいました・・・。 
posted by KH at 16:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 商標