2008年12月13日

特許検索のツール

本日、鹿児島大学のVBLで知的財産法の講義がありました。早いもので今日一日で3コマ、計12回終了です。特許情報の収集と検索を実演しました。特許情報の主な収集検索ツールとして以下の3つがあります。

■特許庁の特許電子図書館(IPDL)

■欧州特許庁のesp@cenet

■米国特許商標庁の特許データベース

特許電子図書館は、最近、フルテキスト検索ができるようになり、利便性が向上しました。esp@cenetの利便性の良さは相変わらずです。パテントファミリーを表示できる点がいいです。最近では、グーグルから、

グーグルパテントサーチという、大変便利なツールが提供されました。

2008年12月04日

2008 鹿児島の発明・商標事情

3日 鹿児島県法人会田上支部の研修会にて、「鹿児島の発明・商標事情」と題してお話をさせて頂きました。

鹿児島は全国第2位の農業県です。農業分野から生まれる発明が多い点が鹿児島の特徴と言えるでしょう。地域で産出される資源(シラスや焼酎かすなど)を生かした発明が生まれる点も鹿児島という地域の特徴が出ていると思います。鹿児島で生まれる発明はそれだけではありません。機能性食品、ITを使った様々なビジネスモデル発明、他県に劣らず、それ以上のユニークで先進的な発明も生まれています。多様な発明が生まれる土壌ももっています。

2005年度統計によると、鹿児島県内の特許出願件数が約300件、商標出願件数が約600件、この数字は同規模の経済力をもつ他の都道府県と比較すると、低い数字です。特許・商標権などの知的財産権は、他県の商品・サービスに対し、鹿児島県の商品・サービスの競争力を高める役割をします。

鹿児島県の知財競争力を数・質ともに向上させるべく、頑張ろうと思います。

2008年08月14日

専売特許の日(8/14)

8月14日は専売特許の日。日本で初めての特許法、専売特許条例が施行されて、特許第1号が付与された日(明治18年8月14日)だそうです。

特許第1号は堀田瑞松(ずいしょう)による「さびどめ塗料とその塗法」。Wikipediaによると、堀田瑞松という人は、但馬国(現在の兵庫県の一部)生まれで、日本刀の鞘を漆で塗装する職人の子として生まれ、例の内国勧業博覧会にも出品し、明治天皇に献上し「瑞」の字を賜ったとあります。

堀田の塗料は、鉄製の船の船底の防錆を的とするもので、漆のほか、鉄粉、鉛丹、油煤、柿渋、酒精、生姜を含むものだったそうです。

日本特許第1号の公報:特許第1号.pdf

読みずらいと思いますが、当時の明細書はずいぶんシンプルです。代理人はいたんでしょうか。

当時、特許を申請しようと思ったきっかけは何だったのでしょう。第1回内国勧業博覧会(明治10年)に出品された臥雲式紡織機(ガラ紡)が最高賞をとったものの、多数の模造品が出回り、十分な利益を回収できなかったことから、その後の専売特許条例の制定につながったという歴史があります。堀田瑞松は内国勧業博覧会に出品したくらいですから、その辺の事情を知っていたのかも知れません。

posted by KH at 14:38| Comment(0) | 特許・実用・意匠

2007年11月17日

意匠登録の意義

デザインを保護する法律として意匠法があります。

デザインは著作権法でも保護されますが、工業品、量産品の場合、美術工芸品にあたるかという高いハードルが課されます。美術=芸術ですから、保護のハードルが高いことが理解できます。

意匠法で保護されるデザインの例としては、自動車、携帯電話、カメラ、時計などのインダストリアルデザイン(工業デザイン)、テキスタイルデザイン、ファッションデザイン、ジュエリーデザイン、ポスターなどがあります。これらはすべてそれぞれの物品に表われたデザインです。

ちなみに、建物の建築デザインは意匠法で保護されません。建物(=不動産)は物品(=量産可能な動産)でないとされるからです。専ら建築著作物として著作権法で保護されます。

※意匠法上の意匠は「物品(物品の部分を含む)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定義されています(意匠法第2条1項)。物品には完成品だけでなく部品も含まれます。例えば 自転車用ペダル。それから物品の部分に係るデザインも部分意匠として保護されます。例えば自動車のフロントデザインなどです。

2007年11月15日

リンカーン大統領のことば

リンカーンは自らも特許をとった唯一のアメリカ大統領です。

彼は40歳の時に「浅瀬を航行するための船」(BUOYING VESSELS OVER SHOALS ) を出願し特許を取得しました(米国特許第6469号)。

彼の発明は船体の両側に収縮自在な浮力タンクを取り付け、浅瀬にさしかかったとき膨張させ、浮力を利用して浅瀬を無事に通り抜けようというものです。

彼の演説中の「特許制度は天才という火に利益という油を注いだ。」という言葉は有名です。特許制度の本質を突いています。

特許制度は、一定期間、発明の独占(=利益)を認めることによって、発明者を保護し、さらによい発明を促そうとする制度です(特許法第1条)。一定期間すぎたら、だれでもその発明を自由に利用することができます。これによっても新たな発明を促し、技術の革新進歩による、終局的には豊かな生活の実現を狙っています。

天才は世の中にそう現れるものではありません。しかし特許制度が発明者の味方であることは間違いありません。