「故郷忘じがたく候」。司馬遼太郎が苗代川の沈寿官宅を取材で訪れた時の十四代を主人公として、島津義弘が朝鮮半島から連れ帰った陶工のその後の薩摩藩内で薩摩焼を生み出す苦悩とその子孫である十四代の韓国での交流が描かれた作品です。
小説に描かれた薩摩焼のふるさと、美山は、普段は静かな山里で武家門が点在し、薩摩の歴史を秘めた何度も訪れたくなるところです。
蔵元祭の日は天気が良いせいか人出が早く、車が渋滞して駐車場の空きを探すのに苦労しました。


立派な武家門構えの沈寿官窯

荒木陶窯にて

白薩摩と黒薩摩
薩摩半島に上陸した陶工たちは、焼き物にふさわしい土を求めてこの地(苗代川)にたどり着き、窯を開いたそうです。
幕末に薩摩藩の財政を立て直した調所笑左衛門の墓や檀君を祀る玉山神社もある。


故郷忘じがたく候の碑
美山はかつての郷士集落として武家屋敷の面影が年々薄れつつあるのが残念ですが、その代わり、薩摩焼の蔵元以外にも、新たな魅力としてカフェ、そば処、ガラス工房が立ち、美山を訪れる楽しみが増えています。